防虫剤の種類

防虫剤には主に4つの成分があるようです。
- ピレスロイド系((エンペントリン)
- パラジクロロベンゼン系
- しょうのう系
- ナフタリン系
1.ピレスロイド系防虫剤(エンペントリン)
除虫菊から抽出された殺虫成分の効能を化学的に強めたもの総称。
蚊取り線香やエアゾール系の薬剤などもピレスロイド系の殺虫剤が主流です。
蚊取り線香は火をつけて殺虫成分を空気中に蒸散しますが、
防虫剤のエンペントリンは常温でも揮発して衣装ケース内に広がって、害虫を駆除します。
特徴は、
- 無臭
- 安全性が高い
- 他種薬剤と併用してもOK
- 効果が高い
- 常温揮発で隅々まで効果が届く
- 高濃度になると、銅や真鍮と反応して変性させてしまう可能性がある
2.パラジクロロベンゼン製剤
4つの防虫剤成分のなかで「最も臭いが強い」のがパラジクロロベンゼン製剤です。
害虫に対して即効性がある一方で、昇華性が高いので効果が長続きしないという側面を持っています。
融点が53℃ととても低いので、夏場の保存場所によっては溶けてしまう可能性があるのが注意点。
また、プラスチックや塩ビ、樹脂などには使えません。
通常利用では安全性には問題が無いとされていますが、肌に直接薬剤が触れたり、保管場所が高濃度になった場合に健康被害を訴える例もあるので、用法用量をしっかり守るようにしましょう。
特徴は、
- 臭いが強い
- 即効性があるが、効果持続時間が短い
- 融点が低いので保管場所によっては溶けてしまう危険性がある
- プラスチックや塩ビ、樹脂などを変性させてしまう可能性がある
- 高濃度になると健康被害の危険性がある
3.しょうのう(樟脳)
防虫剤の成分としては最も古くからある「しょうのう(樟脳)」は、クスノキ由来の防虫成分です。
クスノキの葉や枝を蒸留し、抽出したものを冷却して結晶化させて作ります。
植物由来のハッカのような匂いが特徴で、着物の防虫剤として使われることが多いです。
注意点としては、しょうのう自体は有毒で、万が一飲み込んだ場合はすぐに病院へ行く必要があります。
飲み込んだ場合は、精神錯乱や神経、筋肉系への異常をきたします。
天然由来成分という事で、ピレスロイド系などの防虫剤に比べて安心とうたっているような情報を見かけますが、「天然植物由来=無害」ではないので、しっかりとした情報をもとに使用するようにしてください。また、プラスチックや塩ビに反応することもあるので注意が必要です。
特徴は、
- 植物由来のハッカのようなスッとした香りがある
- 着物の防虫剤に多い
- 飲み込んだ場合は有毒なので病院へ(油分のある物(牛乳など)は飲ませない)
- プラスチック、塩ビに反応して変性させてしまう可能性がある
4.ナフタレン
コールタールの蒸留によって作り出された成分で、強い臭いがあります。防虫効果はさほど強くはありませんが、ゆっくりと効きはじめ効果が長く続きます。
金属や金箔、銀糸など人形によく使われる素材へのダメージが少ないので、五月人形やお雛様の防虫用などに使われることが多いです。
しかし、直接触れるとただれてしまったり、誤飲してしまったら健康被害が出るので安全面ではピレスロイド系に劣ります。
特徴は、
- 臭いが強い
- 即効性は無いが、効果が長く効く
- 直接肌に触れると炎症を起こす
- 金属や金箔などへの影響がないので、人形の防虫剤としてよく使われる
いろんな種類があるんですよね。
それぞれの特徴と用途を考えないといけないですね。